Works作品紹介
横浜市山手の家・精神科クリニック / 延120㎡
横浜元町にほど近い山手地区に立地する精神科クリニックとその2階が住宅です。
「山手の森・心のクリニック」という名前の小さな診療所ですが、精神科・心療内科・児童精神科を扱っていて、地域のお年寄りや子どもたちために様々な活動もできるスペースにしたい、と言うのが施主の希望でした。
外観・ファサード
中庭からのアクセス
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精神科外来へ来院する患者さんや家族が気兼ねなく入れるように、道路から直接ではなく、トンネルのスロープから中庭にアクセスし、そこに玄関を設けました。
小さくても中庭は中央のハナミズキをはじめ豊かに植栽された空間としました。
待合からも中庭の緑が良く見えます。
ブック・カフェのような待合
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待合室は壁面全体を書架にして施主がセレクトした美しい本が並びます。待合時間に読む他、借りることもできます。中庭の緑を眺めながらゆっくりとセルフサービスのコーヒーも飲めます。隅にはエバーフィッシュの植栽や中村好文さんデザインの薪ストーブを配置し、「山手の森」の雰囲気が感じられることを意図しました。
診療時間以外には地域の人々が自由に参加できる医療・介護講座を開くなど、コミュニティスペースとしての場となりつつあります。
クリニック全体が木の空間
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精神科クリニックは診療空間そのものが治療装置です。落ち着きと和やかさに満たされた診療空間であることがポイントです。
診察室関係と待合室は床壁天井とも木の空間としました。患者さんは靴を脱いで無垢の木床の温かさを感じることができます。診察室では医師と患者さんが向かい合うのではなく、広い自然木の机を介して斜めの角度で語り合うように配置しています。
2階の住宅
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別入口から2階に上がるとドクターの親御さんの住宅です。色々な方向から陽光が入り
オープンで明るい木の空間です。施主が木彫りの小鳥やリスを天井の小梁に取り付けて楽しい森の中の陽だまり広場のようになっています。最上部のロフトは快適な多目的スペースであるとともに天に近い落ち着いた精神スペースともなっています。
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街並みの中に溶け込みながら清潔感のある白の土壁系外壁と木のバルコニーの構成です。
精神医療施設の起源は中世ヨーロッパの修道院と言われています。
頂部の三角屋根や入口のアーチ、そしてアクセスの中庭等、この修道院の引用でもあります。優しい佇まいにして患者さんの気持ちを少しでも和らげたい、という意図です。
木製の館銘版、赤いポストが入口のサインとなり、前庭(駐車場)とアクセスの黄色い床が患者さんに元気を与えます。