Works作品紹介
台東区秋葉原透析クリニック改修 1期~6期 / 延2,000㎡
50ベッド・患者数200人の収容力のある都内でも有数な規模の透析クリニックです。
建築は地上6階・地下1階、築25年の鉄筋コンクリート造。
内部の機能配置の見直しとイメージの刷新を意図したインテリアの全面的なリフォーム計画です。
全体は6期7年にわたる継続的な改修工事です。その結果患者さんとスタッフの双方にとって最先端かつ機能的でアメニティの高い透析クリニックとなっています。
テーマは「森のクリニック」
移行計画の重要性
Comment
医療施設改修の難しさは工事のために診療を休むことができない、ということです。
このクリニックでは3フロアーに分散していた透析室を2フロアーに集約することによって運営を効率化することが、改修計画の大きな狙いでした。全体の移行計画と工事のプロセスは、特に院長先生はじめスタッフの方々との十分なコミュニケーションが必要です。運営しながら改修工事をしなければならない、という多くの難しい局面もスタッフの方々からの適切なアイディアや意見によって乗り切ってきました。
1階:玄関ホール・手術室・中央材料室
Comment
1階は手術室関係、中央材料室を機能的に拡充再整備して充実させました。同時に玄関ホールも拡張して壁面に緑のレリーフを設け、またLED照明を時代に先駆けて設備しました。不足していた自転車置場を設け、駐車場まわりも整備しました。
4階:受付・外来待合・外来診察室・事務室およびスタッフ休憩室
Comment
外来診療ゾーンの平面を機能的に拡張しました。
全体の電子カルテ化とともに透析装置もシステムに組込み、診療全体のIT化改修も行っています。
外来待合は天井高さを上げて開放的に、かつ床と壁は木質材料としました。
壁面には緑のレリーフを設け、LEDの暖色照明とともに患者さんの不安な気持ちを少しでも和らげるように意図しました。
スタッフの執務ゾーンは職員がこれまでの動線とゾーニングを尊重しながら、効率よく動けるように平面を整え、また職員休憩室の快適性にも留意しました。
6階:更衣室・待合ラウンジ
Comment
通院透析治療は約3時間の透析を1日おきに受けなければなりません。透析の前後には更衣をして待つたり、食事をしたりする時間がでてきます。以前は更衣室と待合は各階に分散していましたが今回これらを6階に集約しました。患者さんにはこの時間をゆったり過ごしていただくためにホテルのロビーのようなラウンジ空間としています。
スカイツリーや隅田川の花火が見えるように窓を改修し、ラウンジに続く屋上庭園も設けました。内壁は院長先生のこだわりハチミツ色とソラマメ色を塗り分けられ心和むと同時に元気が出るインテリアとなっています。
3階・5階:透析室
Comment
クリニックの主要な治療空間である透析室については、特に綿密な配置移行計画を作成しました。透析患者さんがリラックスできるベッドまわりとすることを追求しました。
まず3階5階とも開放的な1フロアーとして中央にオープンなスタッフステーションを見通し良く設けた平面計画としました。
特徴の一つは天井輻射冷暖房設備としたことです。
透析患者さんは長い透析時間をベッドから動けません。普通のエアコンでの冷暖房では空気の流れを不快に感じることが多いのです。患者さんのベッドゾーンでは空気の流れではない柔らかな輻射による冷暖房を、透析クリニックとしてはかなり時代に先駆けて採用しました。
天井照明も十分な検討をしました。従来の均質な照明ではなく、ベッドの患者さんの目に優しい配置と柔らかい暖色光の器具を用いています。
透析室の床は木質調とし、テーマカラーは暖色のピンクとしてベッドフレームやカーテンをピンクでまとめています。
2階:病棟
Comment
このクリニックには8室の病室があります。今回の改修では廊下を含め木の床、間接照明、木質系の造作家具等にリフォーム、浴室や水周りも改修しています。
Comment
透析医療では水が重要な役割をします。水をキーワードにして緑と木の雰囲気に満ちた
「森のクリニック」というイメージをリフォーム全体のテーマとしました。